「ロンドン・コーリング/クラッシュ」 79年 評価3


 ロックの名盤ランキングでは常にトップテンあたりを賑わす作品。パンクロックバンドとして浸透しているが、三作目となる本作ではその色はほとんど影を潜めている。
どうも調べるとレゲエやダブ、ゴスペル、フォーク、R&B、ロカビリー、ジャズ、スカ、カリプソなどの要素を含んだ楽曲群らしいが、確かに様々な種類の音を感じることができる。ただし、リズムはほとんど一緒で、フレーズが異なるもののメロディーと呼べるような展開はないため、だんだん聞き飽きてくる。

 私の記憶の中から似ているものと感じたのは80年代中盤にイギリスで流行っていた、若々しくて、瑞々しくて、そして安っぽい音。70年代の最後に発表された本作の内容から少しも進歩していない印象なので、逆に言えば、それだけ本作がそのジャンルの基礎と先進を作り上げたとも言え、その意味では重要な作品なのだろう。

 本作が普遍的な名盤とはどうしても思えない。名盤選定の選者は、その選ばれている作品を見ても、1950年代60年代生まれの人が中心と思われ、ちょうど1970年代後半に青春を迎えた人にとっては本作の内容は瑞々しい記憶とともに思い起こされるのだろうと想像する。