「17 / シカゴ」 84年 評価4
前作からのシングルヒット「素直になれなくて」でバンドとしてのサウンドを大きく変貌させて一線に返り咲いたシカゴの、前作と同様ポップス路線で発表した17作目。本作からバラードの名曲「忘れ得ぬ君に」と「君こそすべて」がヒットを記録した。
ほぼ半数の曲でホーンをほとんど使わず、ピーターの澄んだ高音のボーカルだけが目立ち往年のシカゴらしさはないが、ポップスアルバムとしてはなかなかの出来である。特に上記2曲は「素直になれなくて」の流れを汲む上質なバラード。他の曲も悪い曲はなく、よくまとまっている。
2作連続で自身がメインボーカルを取るバラードがヒットしたことでピーター・セテラはいい気になったのか、脱退、ソロアルバムを発表したが、これがまたくだらないアルバムで私のコレクションから早々に消えている。結局彼も「カラテ・キッド」の主題歌「グローリー・オブ・ラヴ」のヒットだけの一発屋として消えていった。
一方シカゴは新ボーカルを迎え「スティル・イン・ラヴ」と「ルック・アウェイ」のヒットを出したが「19」までで事実上忘却のかなたへ。やはり個性のなくなったシカゴに存在価値はなくなったのだろう。