「シカゴ\ 偉大なる星条旗/シカゴ」 75年 評価4.5
70年代初めから中期にかけてのアメリカを代表するロック・バンド、シカゴの9作目にして初のベストアルバム。
シカゴのチャートアクションは、5作目から本作まで連続5作が1位を記録するというアルバムにおけるすごさに比較するとシングルのほうは地味で、あまりヒットはない。元々シカゴは社会派で硬派なロックバンドとしてデビューしたため(1,2作目の内容が顕著)、アルバムとしてのトータル性に重きを置いていたのでそのような結果になっているものと推測される。
私もシカゴはそのアルバムチャートアクションの凄さから、1,2作目から所持し始めたのだが、政治色が濃すぎて、また曲も全編に渡り良いというものでもないため、消してしまった。
しかし、ブラスを多用した多人数のバンドとして、まさに当時唯一の音を作り出していたのは間違いのないところで、ベストアルバムとして聴くと、どの曲もシカゴ色で一杯で(バラードとして始まってもそのまま終わらず、どんどん違う展開になっていく)、しかも質が高い。シングルヒットが少ない分、5作分のアルバムから集曲したわりにトータル性も感じさせ、そう派手な曲が多いわけではない(No.1になった曲はない)がベストとして完成度は高い。
73年以降の「君とふたりで」「渚に消えた恋」「遥かなる愛の夜明け」などは音のクオリティも高いが、それ以前の、ブラスもとても上手いとはいえない「長い夜」「一体現実を把握している者はいるだろうか?」「サタデイ・イン・ザ・パーク」といった荒削りの曲にこそシカゴらしさが出ていて、聴き応えがある。