「ナウ・アンド・ゼン/カーペンターズ」 73年  評価3.5


 カーペンターズの5作目で、一般的に最高傑作といわれている作品。しかしB面のオールディーズのメドレーはアメリカ人ならともかく、日本人はそれほど感慨深く聴く人間はいないはずで、特筆すべきものではないというのが個人的な考え。A面も前後のアルバムと比べ特に際立っているわけでもなく、良くも悪くも"安定期"の作品といえよう。

 単曲的にみると、「イエスタデイ・ワンスモア」はカーペンターが作曲した数少ないヒット曲のひとつで、この曲だけでも時代に名を残す存在ではあるが、結局その他のヒット曲、良曲は他人の作曲のものが多く、カレンの死後、兄リチャードだけではやっていけなかった通り、カレンのボーカルがカーペンターズの存在価値における占める割合が高かったことがわかる。

 現在カーペンターズのアルバムで持っているのは3作で、一時期全てのアルバムを持っていたがその他は消してしまった。正直なところアーティストではなく、シンガー&アレンジャーでしかなかった彼らの音楽は、全体像をあまり崩さず、もっとも効率的なベスト盤を聴くのが一番いいのではないか。

 カーペンターズの曲で私が最も好きなのは「雨の日と月曜日は」と「遥かなる影」であり、どちらも他人の曲である。