「グレイテスト・ヒッツ/ブルース・スプリングスティーン」 95年  評価3.5


 ブルース・スプリングスティーン初のベスト盤である。対象となるアルバムは最初の2作を除き、75年『明日なき暴走』から92年『LUCKY TOWN』の8作で、それらから14曲。それに新曲4曲が加えられている。

 私は『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』で書いたように、それだけが聴けるアルバムで、あとは単曲として良いものはあるのだが、全体を通して聴くにはちょっと・・・という感想を持っているので、ブルースに関してはベストというのは非常に都合がよい。『ボーン〜』前の作品に収められている「明日なき暴走」「涙のサンダー・ロード」「ハングリー・ハート」はまさにアメリカンロックンロールでとってもかっこいいし、以降はとても地味になったとはいえ「ベター・デイズ」「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」なんかは渋いながらも迫力ある曲で、やはりいい。そして彼の場合、とても一般的で共感できる歌詞(年を重ねても共感できる!)もまた凄くいいのである。

 ただし、評価が3.5になってしまうのは、新曲として収められている4曲が実に地味でグレイテストヒッツに入れるような曲ではないことと、やはり「トンネル・オブ・ラヴ」以降の曲がぱっとしないことが原因なのだが、そのほかは一般のリスナーでもブルースの魅力を存分に感じられるベスト盤となっている。