「フリー・ホイーリン・ボブ・ディラン/ボブ・ディラン」 63年 評価2
私が洋楽に興味を持った80年代中期〜90年代初期の間、ボブ・ディランの作品にヒットはなかったし、だみ声と歳取った風貌から過去の人という印象をずっともっていたのだが、ノーベル文学賞も受賞したし、最近いろいろと調べてみると、過去の作品はすごく高評価であり、やはり死ぬ前にはちゃんと聴いてみなければなるまいと考えた次第。
本作は2作目で、ボブ・ディランの名声を一気に高めた作品。ほとんどがボーカルとギター、ハーモニカという構成で、当時21歳とは考えられないだみ声と歌い方、世の中を悟ったような歌詞は特異で、確かにフォーク・ファンの熱狂とともに受け入れられた片鱗はうかがい知ることができる。また、この当時のスタイルが例えば70年代初期のジョン・レノンや80年代後期以降のブルース・スプリングスティーンの作品に多大な影響を与えていることがわかる。
それぞれの曲は味があって、アルバムの中のいいアクセントとして数曲ちりばめてあるならいいと思うが、アルバム全体が、起伏のない、ほとんど同じように聞こえる楽曲群で占めるのでは、また聴こうという気持ちにはなれないというのが本音。声質やフォークというジャンルが私には合わないということを再認識したのだが、この後、ロック寄りのつくりになってくるので、その時の名盤と言われているものを聴いてから、ボブ・ディランに対する個人的評価を確定したいと思う。