「アビー・ロード/ビートルズ」 69年 評価4.5
発売的には『レット・イット・ビー』の方があとだが、実質的な録音時期という意味ではビートルズのラストアルバム。『サージェント〜』と並んで傑作との評価が多い(特に後半のメドレー)。
『ザ・ビートルズ』で音楽的な崩壊状態、映画「レット・イット・ビー」で人間関係も壊滅状態であることを露呈したビートルズが、もう一度以前のようなバンドとしての音楽を作ろう(特にポール)と、一念蜂起して作り上げたアルバム。前半(昔で言うA面)は各人の音楽性はばらばらながらもバンドの音として統一感があり、後半は短曲のメドレーながら非常に完成度が高い。特にバンド、音としての完成度はこれまでで一番であるが、逆に革新性というビートルズの魅力が失われているのも事実ではある。A面はばらばらな感じはするが、何とかバンドとしての体裁は保っているし、「サムシング」「オー・ダーリン」という名曲もあり、B面はこのアルバムが最後という意識がみんなにあったかのような歌詞と演奏であり、素晴らしい出来だ。あと、ソロになって真っ先に傑作『オールシングス・マスト・パス』を発表するジョージ作曲の2曲「サムシング」「ヒア・カムズ・ザ・サン」が群を抜いて素晴らしい。