「リボルバー/ビートルズ」 66年 評価4.5
前作『ラバー・ソウル』でアルバムとしてのトータルコンセプトを打ち出したビートルズが、さらに実験性をも取り入れ、革新性やメロディなど総ての面でグレードアップし、他の追随を全く許さない存在となった作品。
ほとばしる才能の噴出。前作で開花したジョージの才能は決してポールとジョンに劣らないほどの作曲能力を示し、その結果、3者3様の曲が怒涛のごとく押し寄せ、まさにごった煮という感じが結果として評価4にとどまらせはするのだが、3人の個性がバンドとして同じ方向を向いて進化しているため、同じ雰囲気でも『ザ・ビートルズ』(ホワイト・アルバム)のような崩壊の方向に完全にばらばらという感じはしない。
しかし、ポールのメロディ・メーカーとしての才能は凄い。名曲中の名曲「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」はビートルズの曲のうち最も美しい曲といっても過言ではないし(ジョンもこの曲の美しさを認めており、名曲「ウーマン」はこの曲を念頭に作られた)、「エリナー・リグビー」「フォー・ノー・ワン」というメロディアスな曲の出来は出色だ。ジョンは実験的革新的名曲「トゥモロー・ネバー・ノウズ」で総ての評論家たちの度肝を抜くし、「アイム・オンリー・スリーピング」も非常に美しい曲である。
この秀でた才能たちは頂点に向かって突き進み、総てが融合する結果『サージェント・ペパーズ〜』という傑作が作られることになる。