「ザ・グレイテスト・ソングス・オブ・ザ・エイティーズ/バリー・マニロウ」 08年 評価3.5


『セヴンティーズ』が予測以上に気持ちの良いカバーアルバムだったので、私が最も嵌っていた80年代のカバー集についても、「素直になれなくて/シカゴ」や「見つめて欲しい/フィル・コリンズ」、「ニューヨーク・シティ・セレナーデ/クリストファー・クロス」、「タイム・アフター・タイム/シンディ・ローパー」といった名曲のカバーが収められていることもあって買ってみた。

 結果から言うと『セヴンティーズ』にはかなり及ばない。その原因は同じポップス、ポップ・ロックからの選曲ではあっても、同じテンポで雰囲気も似ているかなり狭いジャンルからほとんどの曲が選ばれており、原曲にほぼ忠実にカバーしていることもあり飽きがくることが第一。また、前作ではバリー自身の持ち歌7曲のアコースティック・バージョンが収められており、これもかなり良かったが、今作にそれはないこと、音楽自体の問題ではないが、歌詞が載っていないので、よく知った曲であるのに口ずさめないことが主要因か。また、80年代の曲ということで、何度も原曲のPVを観て、それぞれのアーティストの外観も含めた個性が脳裏に焼きついており、原曲とカバーの良し悪しの差が『セヴンティーズ』よりかなりはっきり感じられてしまうということもあろう。

 とはいっても良い曲ばかりが収められているので評価は3.5になる。が、あまり持っている意味はない。唯一「心の愛/スティーヴィー・ワンダー」がかなり原曲と異なるボサノバ、オーケストラアレンジとなっており、これは原曲より良い出来かもしれない。