「愛と微笑の世界/バリー・マニロウ」 78年 評価5


 日本で最も有名な「コパカバーナ」が収録されているバリーの2年振り5作目のスタジオアルバム。前作で若干チャートアクションが鈍かったためか、今作では12曲中4曲を他人の作としている。しかし、バリー自身もこの2年の間に当然成長しているわけで,バリーの曲も人の曲に負けないポテンシャルをもっており、間違いなく彼の最高傑作といえるだろう。

 シングルカットされた「夜のしじまに」と、今でも何年かおきにCMソングとして使用される「涙色の微笑み」(出だしの口笛の部分から鳥肌物)は人の曲だが,バリー自身の曲でも「コパカバーナ」や作曲作品の中での最高傑作「忘れ得ぬ面影」、地味だが秀逸な出来の「リンダに捧げるバラード」など、名曲が多いとともに、全編がスロー、ミディアムテンポで統一されていながらバラエティがあり、その曲の風景までも映像化させるアレンジまでもが最高の出来栄えで、70年代アダルトコンテンポラリーアルバムの最高峰に位置する作品である。