「ムーラン・ルージュ」 01年米 評価4.5(5点満点) メジャー度4
監督:バズ・ラーマン
出演:ユアン・マクレガー、ニコール・キッドマン他
19世紀末のパリ。一斉を風靡したムーラン・ルージュを舞台に、純朴な青年作家クリスチャン(ユアン)と店随一の娼婦サティーヌの激しくも切ない恋の物語。クリスチャンはサティーヌに一目ぼれするが、サティーヌを一人占めしようとする公爵により、その関係を邪魔される。そしてサティーヌは当時不治の病とされていた結核をわずらっていた。とまぁストーリーはありふれたものだが、斬新な場面切替えと19世紀の物語でありながら現在のロックを使ったミュージカルで、決して汎用さを感じさせない。
とにかく使う音楽が元来洋楽ファンである私の心を揺さぶる。「サウンド・オブ・ミュージック」「イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ/U2」「心のラブソング/ウイングス」「愛と青春の旅立ち/ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ」「ロクサーヌ/ポリス」「愛こそはすべて/ビートルズ」「マテリアル・ガール/マドンナ」「ショー・マスト・ゴー・オン/クイーン」等々のおなじみの曲に加え、最も効果的に使われるのがエルトン・ジョンの「僕の歌は君の歌」とくれば、これはもう私の涙腺を刺激しないわけにいかない。二人が始めて出会った時に使われ、その後も要所要所で使われるこのエルトンの曲(バーニーの詩)だけで、私はもう目に涙である。
それに加え、主演の二人がこれまたはまり役である。ユアンは昔から純朴な青年をやらせると全く違和感がなく、愛を純粋に信じる作家という役どころがぴったり。対するニコールも娼婦でありながら愛を信じたい女を強く、かわいく演じてすばらしい魅力を発散させている。主演がこの二人だからここまで評価が上がったとさえいえるくらいだ。
今風の音楽と早回しを多用した場面回しに多少違和感を感じるため満点とはならないが、たとえ洋楽に興味がなかった人でも、純粋で単純な感情をまだ心のどこかに持っている人なら必ず感動できる、傑作といえよう。
ただし、確かに私の場合洋楽をとてもよくきいていて、しかもほとんど詩の内容も記憶にあったため(これから観る人は、「僕の歌は君の歌」の歌詞を読んでみるだけで全く感動の度合いが違うと思う)、余計に感動できたとはいえるだろう。また、時代も絵画好きの私にとってはもっとも興味をそそる時期であるし、その当時の世相も本や何かで知識があるからということもあるだろう。