「ブレードランナー最終版ディレクターズカット」 92年米 評価4.5(5点満点) メジャー度3
監督:リドリー・スコット
出演:ハリソン・フォード、ショーン・ヤング、ルトガー・ハウアー他
2019年、人間は寿命4年という人間そっくりのレプリカントを作り出し、地球外惑星の開拓や宇宙人との戦いに派遣していた。レプリカントには戦闘目的のものもおり、彼らは情緒も不安定のため、地球での使用は禁止されていた。しかし、寿命を延ばしてもらうため、自分らの寿命を知ったレプリカント5人が地球に侵入してきた。そのレプリカント5人を人間の中から選別し、抹殺する使命を帯びたブレードランナーとの戦いの物語。
それまでのスター・ウォーズや、スター・トレックシリーズで描かれてきた劇画的SFと違い、酸性雨が降り注ぎ、常にどんよりし、息苦しい感じの近未来SFをはじめてリアルにかつ金をかけて映像化したという点で極めて画期的で、その後の類型近未来を続発させた、影響力の高い、カルト的人気を誇る映画のディレクターズカット版。途中、ブレードランナーの夢の中にユニコーンが出てくるシーンを挿入することで、ブレードランナー自身がレプリカントであるということを暗示させている。(あと、ラストも付け足していると思うが、何しろオリジナル版を見たのが15年前なので、なんともいえない)
戦いの物語とはいえ、超人的なレプリカントではないので、ものすごい兵器や、何度でも生き返ってくるという怪物的な戦いではない。話の目的は、4年という寿命しかもらえずに、感情をもらってしまったレプリカントの悲愁である。特に今となっては目新しくない内容とはいえ、独特の雰囲気と、SFでありながら内容は悲しい一本筋のとおったドラマという後世に残すべき作品である。