「二十四の瞳」 54年日  評価4(5点満点) メジャー度4

監督:木下恵介
出演:高峰秀子、月丘夢路、笠智衆他

 第二次世界大戦前の小豆島の分校に赴任になった女学校出の若い大石先生と12人の小学1年生のその後の18年間をつづった名作の映画化。小学校での付き合いは、その後戦争がはじまったことによる貧困、徴兵等により浅くなっていくが、戦争が終わり、再び教え子たちと再会する。

 なんと言っても、この時代の日本映画はセリフが聞き取りづらい。3割ぐらいは聞き取れないといっても過言ではなく、それで評価を0.5落としている。話の展開としては木下の代表作「喜びも悲しみも幾歳月」とおなじ、人間の生き様を長期にわたり描くというもの。しかし、この映画の素晴らしさは、所々映像として切り出される20年にわたり不変である小豆島の風景だ。その風景が、激動の昭和史と対比されて、より深く、人間の感情の起伏を表すことに成功している。ちょっと、色々な事が次々と起こりすぎる性急な内容が、風景によって緩やかにされているといってもいいだろう。

 また、二十年間を演じた高峰も素晴らしいし、個性的な子役たち(実際島に住む素人を起用した)もとてもいい味を出していて、自分のほのぼのとした子供時代をほほえましく思い出させる。今はこんな素直な小学生はいないだろうなぁ。