「手錠のままの脱獄」 58年米  評価3.5(5点満点) メジャー度2

監督:スタンリー・クレイマー
出演:トニー・カーティス、シドニー・ポワチエ他

 ある豪雨の日、1台の囚人護送車が山道で転落し、それに乗っていた二人の囚人が逃げ出した。二人はお互いに手首を鎖につながれていて、一人は白人で一人は黒人だった。

 まだ人種差別が色濃かった時代背景があり、二人のいがみ合いから始まるストーリーは、当然の如くラストには和解するのだが、それまでの細かい人間描写に加え、逃亡劇のスリルが映画の出来として及第点を与える。シドニー・ポワチエもこのあとの映画ではエリートの黒人という役柄が多いが、ここでは乱暴で粗悪な黒人で、荒々しい魅力にあふれている。

 ただ、昔のアメリカ映画にありがちな都合のいいストーリー展開があるのも事実(最後に逃げた家でのエピソード)。また、当時としては衝撃的な内容の映画であったとしても、その衝撃が現在でも感じられるかとなるとそうでもない。