「突撃」 1957年米 評価3.8


監督:スタンリー・キューブリック
出演:カーク・ダグラス、アドルフ・マンジュウ、ラルフ・ミーカー他

1998年、2026年3月観賞

 第一次世界大戦中。膠着状態だったフランス内の戦線でフランス軍大将はドイツ軍の堅牢な陣地を陥落させようとかの地に陣取っていたミロー大将の師団に攻撃を命令。しかしそのドイツ軍陣地の攻撃は無謀な作戦であり、ミロー大将はその命令に反発する。

 銃弾飛び交う現場で命を懸けて戦う兵士と、政治的処遇のために戦争をただのゲームとして考える、戦線後方で指揮を執る高官という対比構図はよくあるものだが、本作ではそれが端的でわかりやすく(言ってみれば映画的に)表現されている。また、出演者たちが達者で演出にメリハリがあるためとても緊迫感のある場面が続くのも映画的な面白さを助長する。ただ、それが30年近く前に観た時ほど胸に響かないのは、近年の戦争の在り方が昔と大きく変わってきたことに影響していると思う。

 20世紀の戦争までは、軍人同士の肉弾戦が必須だったが、特に最近のアメリカとイランの争いを見ると、今後はドローンミサイルなどで軍用地等を攻撃することが中心になることは間違いない。つまり、高度化した戦争の中では兵士一人一人の意気や能力は重要ではなくなり、多様化した人間の平等性が尊重される中で軍隊内での統制というのは一層困難になるだろうし、本作で描かれるような兵士の弄ばれる命、軍隊の理不尽さなどは理解されないのだと思う。戦争映画も変わっていくんだろうなぁ。

 ラスト近くでフランス軍の居酒屋でドイツの歌を聞いて、フランス軍人が感傷深げに涙を流して合唱するシーンが、フランス人がドイツの歌を知ってるのか??と歴史音痴の私には不可解なので、ちょっと収まりが悪い結末だなと感じる。

 また、そのドイツの歌を歌わされるドイツ人女性を演じた女性がキューブリックの3人目の奥さんで、生涯添い遂げた人というのは初めて知りました。