「サイコ」 1960年米 評価4.8


監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ他

1987年、1988年、1997年、2025年10月観賞

 フェニックスの不動産屋に勤めるマリオンは客の前受け金4万ドルを持ち逃げし、恋人の住むカリフォルニアに向かうが、途中豪雨に見舞われ、郊外のモーテルに泊まる。しかし、優し気な経営者の若者ノーマンと会話をした後にシャワーを浴びていた時、何者かに刃物で殺害される。

 バーナード・ハーマンのプレリュードとシャワーシーンのキレッキレの音楽や、構成や影に拘った映像技術、主役と思われたジャネット・リー(現実、彼女がポスターの中心に大きく据えられているし)が前半で殺害されたり、当時としては斬新だった二重人格者の犯人像とか、かなり実験的な要素が多く、それが今でさえ古さを感じさせないということが凄い。また、ノーマンを演じたアンソニー・パーキンスの演技面の貢献も多大で、ラストシーンの微笑には鳥肌が立つほど。

 さすがに2つの殺害シーンは近年の作品に比べればチープで現実性が低いのだが、本来の映画の面白さは殺害シーンの凄惨さではなく、それに至るプロットが大事ということを今でも感じさせる傑作。

 前半の現金持ち逃げがバレるのではないかというサスペンスからの後半の急展開と全く心の緊迫が途絶えないストーリーが見事。一方、とにかく4回目の鑑賞なので、誰がどういう状態でマリオンを殺害したかはわかっているためその部分のサスペンスは感じられないのだが、初鑑賞時は、マリオンを殺害したのは実は生きていたノーマンの母親なのか、それとも母屋に住んでいる想像外の女性なのか、というミステリーも感じられ、真実が判明する残り10分程度の衝撃たるや凄まじいもので、初見時の評価を適用するのが本作の正当な評価と思う。4回も繰り返し観ている通り、私にとってはヒッチコック作品の最高傑作である。