「12モンキーズ」 1995年米 評価4.4
監督:テリー・ギリアム
出演:ブルース・ウィリス、マデリーン・ストウ、ブラッド・ピット他
1996年、2025年9月観賞
2035年。地上はウイルスに汚染され、人類は地下に一握りが住んでいるだけ。囚人のジェームズは優れた記憶力と屈強な体力を買われ、ワクチン開発のため、地上にウイルスがばらまかれた1996年から病原菌を持ち帰る任務を負い、タイムマシンで過去に送り込まれる。
タイプスリップもので時間軸が入れ替わるとともに、奇才テリー・ギリアム作品なので、初見時は完全にストーリーを捉えられたとは思えなかったものの、近未来のレトロな美術、ロマンスを絡めた複雑なストーリー、何よりブルース・ウィリスやブラピの強烈な演技が印象的で、記憶に残る作品となっていた。
今回約30年振りとは言え2回目なので、じっくりストーリーを噛みしめながら鑑賞したのだが、伏線は上手く回収しているし、ストーリー的に大きく破綻しているところもなく、ギリアム作品の中ではかなりわかりやすい。また、過去を変えることによる矛盾(過去を変えることに意味はないことが前提となっていて、登場人物達はあくまで過去から病原菌を持ち帰りワクチンにすることを目的としている)を気にする必要もないので、主人公ジェームズと精神科医キャサリンの精神的なラブストーリーという側面を強く感じた。
ウィリス演じる未来の囚人が現代にきて、車の中でルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」を聴いて「この時代の音楽は素晴らしい」と涙ながらにつぶやくシーンが初見時から非常に印象に残っている。自然に呼吸できることや何気ない日常の風景にさえ感銘を受けることに、荒廃した時代から来た男の哀愁が感じられるとともに、人類への警鐘、精神的ラブストーリー、タイムスリップ的ミステリ―などの様々な要素が個性的な映画的芸術性の中で高い水準で融合している稀有なSF作品だと思う。