「ジョニーは戦場に行った」1971年米 評価4.3
監督:ダルトン・トランボ
出演:ティモシー・ボトムズ、ジェイソン・ロバーズ、ドナルド・サザーランド他
1988年、2025年8月観賞
第一次世界大戦に出征した20歳のジョーは塹壕で爆弾を受け、顔のほとんどの機能を失うとともに、やがて壊疽のため両手両足も切断される。大脳も大きな損傷を受けたと診断されるが奇跡的に生命は維持されていたため、研究のため病院で延命されることとなる。しかし、ジョーは正常な精神を保っていた!
医師からは意識を持たない肉塊としか扱われない中で、なにも表現する手段を持たずに意識だけは鮮明なジョーの悲劇が痛いほど胸に迫る。トランボ自身の原作もそうだが、とにかく凄まじい内容で、それだからこそ、優しい看護婦と意思を通じ合えた時の感動、ラストの「自分を殺せ!」と繰り返す悲痛な叫びが呼び起こす戦争の悲劇が、忘れたくても忘れられないインパクトを与える。
原作は第三者的視点がないが、映画ではさすがにそうはいかないので幻想・夢のシーンも映像化している。実際の恋人との甘いひと時や父親との大切な思い出の場面は良いのだが、正直なところ、幻想・夢のシーンがいまいち幻想的でもなくチープな印象で、またその持つ意味が解りづらいところもあり、モノクロで表現される肉塊でしかなくなったジョーのシーンといまいちバランスが悪い。カンヌで審査員特別グランプリを受賞しているものの、トランボ唯一の監督作品でもあって、ちょっとその点は映画としての完成度を低めているとは思う。