「Flow」2024年ラトビア・仏・ベルギー 評価2.5
監督:ギンツ・ジルバロディス
出演:アニメ
2025年3月観賞
森で暮らす1匹の猫が洪水と水位上昇の中で、他の動物と協力しながら放浪の旅に出る物語。第97回アカデミー長編アニメ映画賞受賞。
私は、動物や物が人間の言葉を話したり過剰な表情をするようなアニメに全く興味を持てず(そもそも人間の言葉を話して人間の感情に訴えたいのなら人間を使って表現しろよ、と思ってしまう)、子供たちが小さいときに一緒に観た以外にその類の作品を観ることは皆無。そんな中で、本作は動物たちは本来の鳴き声しか発せず、過剰な表情・動きをするわけでもないということや、アカデミー長編アニメ映画賞を受賞したこともあり、観てみた次第。
舞台は、人間がいなくなったポスト・アポカリプスの世界のようだが、家屋にある1枚の紙やベットの綺麗さを観ると長くても1,2カ月前に人類はいなくなったという設定でないとおかしい。また、津波の到来後に水位が少なくとも1000m以上上がって数日それが維持されている状況からは、地震ではなく急な温暖化などで両極の氷山がいっぺんに融けたとしか考えられない(それでも1000mも水位が上がることはあり得ないが)。その後、急に水位が下がるのだが、前半に描かれる標高の低いところに位置する家屋が普通に無事な佇まいだったことから、水位上昇は今回初めてだったはずで、なぜ人類が1,2ヶ月で影も形もなく絶滅(映画中に人はひとりも出てこない)したのか全く不明。
舞台設定自体が気になってしまう私にはどうしても、この映画で描かれるとんでもない水位上昇に合点がいかず、その時点ですでに高評価はつけられない状態で、ストーリーも鳥の昇天やラストもなんだか置いてけぼり感満載。
登場する動物たちの行動が段々と巷にあふれる“擬人化”映画に近いものになって行くのも正直がっかりさせる。特にワオキツネザルはディズニーやピクサーのそれとほぼ同じ。また、画の方は風景は綺麗だが動物たちの毛がまんまCG感満載なので、それは最初っから違和感を感じてしまい、特に特筆すべき点はない映画という印象。