「荒鷲の要塞」1968年英・米 評価2.6


監督:ブライアン・G・ハットン
出演:リチャード・バートン、クリント・イーストウッド、メアリー・ユーア他

1984年、1991年、2025年1月観賞

 第二次世界大戦中、飛行機事故によってドイツ軍の捕虜になったアメリカの陸軍将軍を救い出すために、英国諜報部員6名とアメリカのレンジャー部隊員1名がアルプス山脈の断崖絶壁に建てられた「鷲の城」と渾名される難攻不落の城塞に潜入。しかし話は予想だにしない展開となる。

 冒険小説の重鎮アリステア・マクリーンが脚本を担当。後にノベライズ化された。軸となる大筋のストーリーはなかなかひねっているのだが、映画脚本が先だったためか、話に奥行きがない。

 オーストリアのホーエンヴェルフェン城をロケ地として使用し、セットも火薬の量も物量的に非常に大掛かりで製作費は相当かけていると思うのだが、映画全体としての出来が悪すぎてそれらが有効に作用しておらず、無駄に金をかけた大作という印象。

 主演のリチャード・バートンは終始苦虫をつぶしたような表情で存在感があるのだが、イーストウッドは当時マカロニウエスタンで人気が出てきたころで、とてもバートンと対峙するには薄っぺらい感じだし、典型的なアメリカ人の顔つきでドイツ兵に成りすますという設定に無理を感じてしまう。

 とにかくも映画としての演出がぬるすぎる。軸になるバートンとイーストウッド以外はほとんど人物像が描かれないため、出演場面があってもただ消えていくだけ。ドイツ兵側に軸となる敵役がいないので、単にバートン&イーストウッドが暴れているだけの内容になっている。その他にも、都合よく簡単に荒鷲の要塞に入り込めるし、あまりにドイツ軍が無能でイーストウッドが無双すぎるし、なぜに相棒として華奢な女スパイが登場?、そんな女スパイに睨まれて捕虜になる3人は何もしなさすぎでしょ、バートンの左手が打たれたことは何も演出上役に立ってない、とかとか、もう全く緊迫感を感じず、久しぶりに途中で観るのをやめようかと思ったくらい。

 初見の40年前の評価が4.5だったのは、まぁ高校1年だったからしょうがないのかなぁ。