「いまを生きる」1989年米 評価3.4


監督:ピーター・ウィアー
出演:ロビン・ウィリアムズ、ロバート・ショーン・レナード、イーサン・ホーク他

1990年、2024年11月観賞

 1959年、アメリカの名門全寮制学院に、型破りの同学院OBである英語教師キーティングが赴任。彼は厳格な規則に縛られている学生たちに、詩を通じて今を大事に生きることを説く。彼に感化された一部の学生は「死せる詩人の会」を発足し、自分らの生きる道を論じ合うようになる。

 一応主役は英語教師キーティングを演じたロビンなのだが、話の中心は学生たちが如何に自由に自分の意思を外に発散していくかという精神の成長なので、キーティングの奇抜な授業風景は描かれるものの、彼の人間性の深掘りが浅く、いまいち影響を与えた教師側の印象が薄くなってしまっているし、唯一彼を理解していただろうもう一人の教師との関係性も曖昧。一方で、中心的に描かれる学生7人はそれぞれ個性的に、丁寧に描かれており、青春群像としての出来は良い。

 私のように1970,80年代に義務教育を受けてきた世代には、舞台となった厳格な全寮制学院の厳しさは理解しやすいが、その後のゆとり教育とかハラスメントへの権利だとかで教育の在り方が変わる中で育った世代には、そもそもこの作品の舞台となった学生生活自体がピンとこないだろうと思う。1950年代の学生を中心に描かれていて、若い頃の評価と歳をとってからの評価は変わるし、世の中の流れの中でも立ち位置が変わってしまう典型ともいえる作品で、初見時は4.5だった評点は、今の歳になっては、また、現代の感覚では落ちてしまう。