「追いつめられて」1987年米 評価3.2
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ケヴィン・コスナー、ジーン・ハックマン、ショーン・ヤング他
1990年、2024年8月観賞
海軍将校のトムは、ブライス国防長官から秘密任務を任される。トムはパーティーで出会ったスーザンに惚れこむが、スーザンはブライス長官の愛人であり、他の男との密会を疑ったブライスはスーザンを誤って殺してしまう。ブライスの法律顧問であるスコットの策略で、スーザン殺しは他の男の仕業と仕組まれていく中、スーザンと恋仲にあったトムは自身に容疑が向けられていくことを悟る。
上司で士官学校の同窓でもある友人が大臣の殺人事件を隠ぺいするために尽力し、かたや自分がいずれその殺人事件の容疑者となることが確実と感じていることを上手く利用したストーリー・プロットはなかなか面白いのだが、今観るとずいぶん雑に仕上げたことが気になってしまう。
まず、冒頭のトムが英雄視される所以となった救助劇の事象が大したことなくて、映像、演出的にもかなりチープ。また、前半のうち30分程度充てている主人公トムとスーザンのラブロマンスがミステリー作品仕立ての中では長いことに加え、この二人の恋に落ちるさまが精神的なものではなく肉体的な相性と肉欲が一致していたためと感じざるを得ない演出であるため、事件のきっかけになる二人のロマンスが軽々しくしか感じられない。
ラスト近くになっての殺人と自殺はあまりに雑で急な展開だし、ラストシーンのどんでん返しもそれまでの伏線がないのでなんだが取って付けた感じ。その他にもかなり雑な展開が目に付く。
34年前の評価は4.5。確かに初見で勢いだけで観られれば、かなり面白いとは思う。しかし、「隣人は静かに笑う」的なドンデン返しがあり、「フェイス/オフ」的な奇抜なストーリーアイデアという土台がある一方、何をストーリーの軸にすべきかを間違い、いろいろ詰め込み過ぎた結果として、ガチャガチャで雑な映画になってしまったことが2度目では感じてしまう。いい素材なんだけど、もったいないという感想。