「風の谷のナウシカ」1984年日 評価4.5


監督:宮崎駿
出演:アニメ

1990年、2024年7月観賞

 「火の7日間」と呼ばれる最終戦争から1000年が経過した地球。人間はわずかに残った未腐敗の土地で生きることを強いられている。海からの風により腐敗を免れている風の谷の姫であり、風を読むことに天賦の才能があり、革新的で自由な考えをもつナウシカは腐敗した地の地下では土が浄化していることを知る。

 原作は更に壮大かつ難解な内容で映画版との違いは顕著であり、監督自身が言っているように、ラストの蘇りのシーンはやはり安易な展開だなとは思ってしまうのと、久石譲が音楽を担当した長編アニメ3作目の本作では、まだ電子音が安っぽさと時代を感じさせるし、いまいち映画の内容とマッチせず、「ラピュタ」のような映像との一体感を感じさせない場面も多い。

 しかし、壮大な物語の背景や登場人物の基本構成、キャラクターデザイン、飛行シーンの疾走感や飛行船の造形などはすでに本作で完成していて、後のジブリ作品の原型になっていることが良くわかる。また、この後のジブリ3作(「ラピュタ」~「魔女」)でヒロインの年齢が幼年化していく中において本作のナウシカは、強くて優しく、自己犠牲の精神ももった王道のヒロイン像として極めて魅力的だし、原作とは異なるとはいえ、ラストの部分を除けばストーリーもとても求心力がある。欠点はあっても、この後のジブリを語るに欠かすことのできない重要な作品。