「フュリオサ」2024年豪・米 評価3.8


監督:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリストファー・ヘムズワース、トム・バーク他

2024年6月観賞

 マッド・マックスシリーズの前作、『怒りのデス・ロード』においてマックスを差し置いて主役として描かれたと言っても過言ではない、イモータン・ジョーの部隊隊長フュリオサの前日譚。そもそも、『デス・ロード』製作時から本作の構想があったということだから、『デス・ロード』におけるフュリオサの描かれ方が謎をもってなされたということは今となっては納得できる。

 そのような本作の性質上、フュリオサの少女期から前作の冒頭部分までを描く内容となっていて、そのストーリーを語ることに重点が置かれる分、『デス・ロード』のようなハチャメチャな突き抜け感(盲目のギター弾きやマックスを血液袋として扱うなど)は大分なくなっている。「緑の地」から連れ去られ、母親を目の前で殺されて不毛の地で育てられるという経緯と描き方にあまり工夫がなく、また、いまいち余計な演出も、前日譚であるがゆえの読めてしまう展開も多く、約2時間半という上映時間は長く感じられる。

 アクション映画としての見どころは多く、それはそれで面白くて及第点はクリアするし、IMAXレーザーで観たので迫力はあったのだが、どうしても腑に落ちないのは、フュリオサが母親の敵ディメンタスに囚われて逃げ出すときの過程。左手を鎖に固定され宙づりされ部下のバイクに囲まれていたのに、自らの腕を切断してしかも敵のバイクを奪って逃走??さすがに無理でしょ。重要なポイントなのに描き方が雑なのが最後まで気にかかった。

 主役のアニャは鋭い眼光を持ち、アクションも良く頑張っていて何ら問題はないのだが、『デス・ロード』のシャーリーズ・セロンが長身(177cm)で肩幅が広く見栄えからして強そうで、顔つきも含めて私の好みだったものだから、セロンと比べてしまうと加点はないかな、というところ。