「となりのトトロ」1988年日 評価5.0
監督:宮崎駿
出演:アニメ
1989年、1990年、2024年6月観賞
ジブリ映画の中で私にとって冒険活劇として最高峰の「ラピュタ」とともに双璧をなす名作に位置付けられており、全編通してきっちり観たのは3回目になるが、二人の子供とは、幼いころに断面的にそれはもう数えきれないほど観て、34年振りとなる今回の再視聴に際し、すでに50歳を軽く超えた今、果たしてどう感じるかには正直ちょっと不安もあった。
しかし、そんな不安はすぐに一掃される。とにかく話の展開に無駄が全くない。スピーディでありながら無理のない展開は、奇抜な出来事などなくても(トトロの登場自体は奇抜だが。。。)すっかり惹き込まれ、ところどころに挿入される子供ならではの動作や表情にも懐かしさを感じるし、さすがと感心する。また、小学生の頃みたような田舎の風景はその描写と自然が発する音色と相まって匂いさえも感じられるほど。
登場人物も、サツキちゃんは利発で聡明、活発な女の子。メイちゃんは頑固だけど素直で、子供らしい子。この性格付けが単純明快且つ全く嫌味を感じさせない。トトロと猫バス、マックロクロスケはその登場シーンからして完璧で、キャラクターとして愛されること間違いなしという可愛らしく柔らかい造形(大体、創造の生き物は、近年のアニメ映画のキャラクターのようにペラペラ人の言葉を話しちゃいかんのよ)。テーマ曲「さんぽ」「となりのトトロ」の強弱や緩急をつけた音楽の使い方もストーリーと一体化して素晴らしい。なんとまぁ完璧な映画であることよ。
本作をどんな時代に観ても、トトロは、子供たちは私にも見えるかなと思い、大人はもしかしたら自分にも見えたかもしれない、または自分の子供には見えると信じて欲しいという永遠の対象であり、どの年代の人にも心根の部分で優しい気持ちになれるというとても稀有な作品であるとともに、やはり私にとっては「ラピュタ」と双璧であることを再確認。
純な心で信じるものだけに見えるトトロという存在をあっという間に観る者に受け入れさせる映画の魔術。懐かしさと優しさ、さらにドキドキ感やほっこり感も、どんな歳になっても感じられてなんか優しい気持ちになれる、やっぱり心の中から永遠に消えることのない名作だと思う。