「隠し砦の三悪人」 58年日  評価4(5点満点) メジャー度3

監督:黒澤明
出演:三船敏郎,千秋実,藤原釜足,上原美佐他

 戦国時代,山名家に敗れた秋山家の侍大将真壁六郎太は、世継の姫と隣の早川領に抜け出そうと隠し砦にこもっていた。そこには秋山家再建のための軍資金,黄金200貫が隠してあったが,とても二人ではもっていけない。しかし,偶然黄金を見つけてしまった二人の百姓を利用し,六郎太は早川領への抜け出しを図る。

 3人の脚本家に,黒澤自身が出した難関を突破するように命じたというだけあって,映画特有のご都合主義的な展開はなく,本当に次から次へと難題が振りかかる。六郎太のカッコ良さ,山名家の侍大将の裏切りの潔さ,そして,二人の百姓の滑稽さなど,映画の醍醐味が満載である。

 と,言うことだが,あまりに娯楽大作過ぎて,ちょっと,人間像が希薄になったのが評価4の原因。この頃から,黒澤作品は娯楽面・映像の壮大さをやや強調しすぎるようになってきた。しかし,この映画的な魅力は,結果的にハリウッドに“黒澤の弟子”を量産したのだろうとも思う。「スター・ウォーズ」のC-3POとR2-D2が二人の百姓をモデルにしているというのは有名な話。