「イヴの総て」1950年米 評価4.3


監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
出演:ベティ・デイヴィス、アン・バクスター、ジョージ・サンダース、セレステ・ホルム他

1990年、2024年4月観賞

 ブロードウェイの大女優マーゴに憧れて毎日舞台を観に来ていた若い女性イヴは、舞台作家の妻に目をかけられてマーゴの付き人となる。完璧な仕事ぶりで信頼を得ていくイヴは、次第にマーゴの周りにいる舞台関係者や批評家に取り入ってゆく。

 前半は、マーゴ役のベティ・デイヴィスの演技が凄いなと思いつつも、昔の映画っぽい進行だなとちょっと退屈しかかったが、イヴが策略と本性を出し始めてからは急にストーリーがミステリー調にもなり、怒涛の展開になっていく。さすがはアカデミー作品、脚色賞など6部門受賞作品。

 本作のいちばんの特徴は卓越した役者たちの演技。一つの観方として、ベティ・デイヴィスの演技をとことん堪能できる作品。40を超えた大舞台女優のエゴと不安と誇りを完璧に表現。アカデミー主演女優賞受賞に至らなかったが、同じく主演女優賞にノミネートされたアン・バクスターと票が割れてしまったためと推測されている(デイヴィスはカンヌ映画祭の女優賞を受賞)。この二人以外にも助演男優賞(受賞)に一人、助演女優賞(ノミネートのみ)に二人と計5人が俳優賞にノミネートされているのだから、客観的にもその凄さはわかろうというもの。

 アン・バクスターが小柄で顔が大きく、自分の好みではないのでちょっと加点に結び付かない一方、マリリン・モンローがちょい役で出演している(意外とセリフは多い)ことも本作では有名で、この頃のモンローは若さも含めて魅力的。