「めし」1951年日 評価3.2


監督:成瀬巳喜男
出演:原節子、上原謙、島崎雪子、杉葉子、杉村春子、小林桂樹他

1989年、2024年3月観賞

 岡本初之輔と三千代の夫婦は結婚後すぐに仕事の関係で大阪に移住し5年。証券会社に勤める初之輔は会社から帰ると新聞を読みながらめしを喰うばかりで夫婦間の会話もほとんどない。そんな中、初之輔の姪・里子が家出をして東京から大阪へやってきた。お嬢様育ちの里子は自由気ままに初之輔の家に居候を決め込むが、そんな二人を横目に、三千代は家事に追われるだけの日々に疑問を持ち、夫を残して実家にしばらく帰ることを決意する。

 林芙美子原作だが、2/3を書き上げたところで林は亡くなったため、未完の作品を映画化したもの。川端康成が監修(具体的に何をやったか不明)している。

 日本人離れした風貌の原節子が、慎ましやかな家庭人を演じて違和感がないのは成瀬の力量か、川端の監修のおかげか、はたまた原の演技力か。とにかく意外な俳優が市井の冴えない夫婦を演じていて、それは見応えはあるのだが、夫のために家事に勤しむ自己犠牲的な女性像はさすがに50歳を超えた私にとっても古いと感じてしまう。ダメ男っぽく描かれる夫が、女遊びもせず真面目なだけが取り柄で悪気がないということが道徳的には救いではあるのだが、だからこそ物語にあまり起伏がなくて、さらに、丸く収まるラストは林芙美子が本来意図しただろうものとは思えないような気がして、何となく凡庸に感じてしまう。