「ミラーズ・クロッシング」 90年米  評価3.5(5点満点) メジャー度2

監督:ジョエル・コーエン
出演:ガブリエル・バーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジョン・タトゥーロ他

 1920年代後半,禁酒法の時代のアメリカにおけるアイルランド系とイタリア系のマフィアの抗争を一人のマフィアの眼から描いた作品。主人公のトムは,もともとアイルランド系マフィアのボスであるレオについていたが,レオの情婦と関係していたことで追放され,イタリア系ボスのキャスパーにつく。しかし,ひょんなことでキャスパーが殺され,またアイルランド系に戻るという、ごく単純に書くとこのような内容。

 しかし、脚本が良く練りこまれていて,トムがイタリア系についた後から複雑な話の展開が絡む。トムはいろいろ策略を練って,キャスパーの右腕となるのだが、その過程が面白い。もう1回みたいと思わせる作品。

 インテリマフィアのトムの世渡り上手振りが,クールで一見格好良いのだが、実はトムはからきし腕っ節が弱く,人を殺したこともなく,実は浅はかな悪知恵を並べているに過ぎないのだ。それでも結局は偶然と、相手の勘違いによって,すべて自分に都合のいいように収束するという,アイロニカルなユーモアが根底にあり,そこが、普通のマフィア映画と違うところだし,コーエン作品らしさも感じられる。