「ムトゥ 踊るマハラジャ」 95年インド  評価1(5点満点) メジャー度5

 最後までとても見る気にならなかった。40分で降参した。

 98年ぐらいに,渋谷で公開されて大人気,長ロングランになった映画だが、どこが楽しいのかわからない。私が推測するに,最近の映画にはない安っぽい作り,「そんな馬鹿な!」という展開,とてもかっこいいとは言えない主役のかっこつけ方,踊りの滑稽さが受けたのだろう。しかし,もともとギャグ映画として作られたものではなく,ある意味,“馬鹿にした”笑いだったのではないか。また,もうひとつヒットした要因は,ここ10年ほど,純粋なギャグ映画というものがなく,観客が,このような映画を見たことがないための目新しさではないかと思う。昔は,ポリスアカデミーやフライングハイシリーズといったばかばかしいギャグ映画が結構頻繁に公開されていたものである。今はギャグ映画ではなく,コメディである。「メリーに首ったけ」など、馬鹿馬鹿しい笑いだけでなく,きちんと筋があってという内容の物しかない。この2つの要因があってヒットしたのだろうと個人的に考える。

 安っぽさや,お約束のギャグは,80年ころのジャッキー・チェンの映画を彷彿とさせ,私には目新しくも何ともない。ミュージカルシーンも,ちょっと妙なダンスではあるが,笑えるものではないし,笑うのは,まじめにやっている出演者に失礼だ。

 この映画の後,似たようなインド映画が次々に公開されたようだが,もともとが日本人にとって“馬鹿にした”笑いである上に,内容も乏しいもので,すぐに飽きられた。いくら話題作だといって,見慣れない内容で新鮮だと評価できるほど,私は映画を見てないわけじゃないし,ミーハーでもない。