「猿の惑星」1968年米 評価4.2


監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:チャールトン・ヘストン、ロディ・マクドウォール、キム・ハンター他

1988年、2023年9月観賞

 半年の宇宙探査を終え地球に帰還するため宇宙船内で冬眠生活に入った4人の宇宙飛行士。しかし宇宙船は故障でとある惑星に不時着してしまう。生き残った3名は地上に降り立ち、生きるための探索に出るが、途中地球上の猿人によく似た集団に捕捉される。

 特殊メイクの猿人が大挙して登場するという、言ってみればキワモノ映画なのだが、監督がシャフナー、主演がヘストン、音楽がゴールドスミスという一流の布陣から、原作を基にして極めて真面目に製作された大作であることがわかる。

 当時としてはずば抜けた特殊メイク技術が施されており、現在の視点から見てもさほど違和感はない。中核のストーリー自体に捻りはなく、会話もお決まりのやり取りが多いものの、かつて人類が認めたがらなかった進化論を人間-猿の立場を逆にして繰り広げられる議論は興味深い。

 本作の白眉で何よりショッキングなのはラストシーンだが、さすがに初見時のインパクトは感じられないし、登場する猿人類が完璧な英語を話している(原作では独自に発達した言語)ことから、ラストへの展開はほぼ読める構成になっていることにもさすがに気付いてしまう。しかし現在においても、人類はこの映画のような結末に転がり落ちる危険性を大きくはらんでおり、それに対する警鐘という観点からも衝撃的なラストであることは不変で、2回目だからといってこのシーンの評価を差し引く必要は全くない。