「レベッカ」 1940年米 評価4.4
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリヴィエ、ジョージ・サンダース他
1986年、2022年9月観賞
富豪夫人の付き人としてモンテカルロのホテルにいた「わたし」は、イギリスの貴族で、1年前にヨットの事故で妻レベッカを亡くしたマキシムと出会い、マキシムの後妻として、イギリス・マンダレイにある彼の大邸宅へ行く決意をする。多くの使用人がいる邸宅の女主人として慣れない生活を始める「わたし」だったが、冷たい使用人、ことあるごとに目につく先妻レベッカの煌びやかな記憶と評判など、次第にレベッカの見えない影に精神的に追いつめられていく。
本作の鑑賞は36年ぶりになるが、原作であるデュ・モーリエの小説を6年前に読んでいたので、あらすじはほぼほぼ先読みできる状態で鑑賞。
ヒッチコック作品としては珍しく、前半の、ミステリーに入っていかないドラマ部分が非常に丁寧であり、かつ、名優ローレンス・オリヴィエを起用していることから格調高くもなっていて、それがアカデミー作品賞、監督賞、主要俳優部門3カテゴリーにノミネート(受賞は作品賞と撮影賞のみ)された所以でもあると思われる。
主演のジョーン・フォンテインは地味な印象で全く目立たないのだが、原作の「わたし」自体が平凡な女性なので、今回鑑賞で気づいたがそれがはまり役。オリヴィエ(デ・ニーロの若い頃とよく似ている)はさすがに名優だけあるし、落ち着いた展開の中でも見応えは十分。ミステリー的展開に拍車がかかってくる後半はさすが、ヒッチコックの真骨頂。個人的には先読みできてしまう状態だったのだが、それがなければ結末までの緊迫感には確かに唸らされること間違いなし。
ちょっと残念なのが画質の悪さ。ほとんどピントが合ってないし、特に後半は照明による「飛ばし」によって役者の表情がわかりづらい場面も多く、作品の本質ではないものの少し減点せざるを得ない。