「ダーティ・ファイター」 1978年米 評価3.2
監督:ジェームズ・ファーゴ
出演:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、ジェフリー・ルイス他
1984年、2022年8月観賞
トラック運転手のファイロと隣人のオーヴェルの中年男性は双方ともに独身で大の仲良し。ある日、バーの歌手のリンに一目ぼれしたファイロはそのままリンといい関係になるが、リンは数日後に他の街に無言で旅立ってしまう。ファイロと飼っているオラウータンとオーヴェルは彼女を探す旅に出る。
ダーティ・ハリー・シリーズも軌道に乗り、それ以外の出演作も軒並み大ヒットを続けていたイーストウッドが、当時の恋人のソンドラ・ロックを相手役に、仲良しのジェフリー・ルイス(ジュリエット・ルイスの父)を相棒役にして、全く肩の力を抜いて好き勝手に製作したという内容。
トラック運転手で時折ストリートファイトをして金を儲けるという主人公ファイロが、彼にぶちのめされた中年不良グループや警察官に追われながらの旅を続けるというストーリーなのだが、ステレオタイプのコメディという分類になる。芸達者のオラウータン、強烈な個性を持った隣人のおばあちゃんに加え、女性に初心で結局ビッチにもてあそばれるイーストウッドという他作では観られないキャラ設定が新鮮。
38年前の評価は4.5だったが、今観ると、結局恋人のソンドラ・ロックはビッチのまま退出、ストリートファイトの強敵がひっくり返るほどの(特にラスボス)だらしなさというインパクトも覚えていないのも納得の脱力系の内容。イーストウッドファンが、楽しんでいる彼自身をニヤニヤ観るという鑑賞方法が合うという感じで、真面目に評価するものではないと思うが、酒でも飲みながら片意地張らずに適当に観ている分には十分楽しめる。
因みに邦題の「ダーティ・ファイター」は、もちろんイーストウッドの出世作「ダーティ・ハリー」から付けたものと思うが、本作の主人公は全くダーティではなく、「ファイター」も前面に出ているわけではなく、誤解を与えるものだ。