「トム・ホーン」 1980年米 評価3.0
監督:ウィリアム・ウィアード
出演:スティーヴ・マックィーン、リチャード・ファーンズワース他
1984年、2022年8月観賞
アメリカ西部開拓時代のアパッチ戦争におけるジェロニモ討伐において大きな活躍をしたものの、時代の流れに翻弄され、最後は少年の殺害容疑で1903年に死刑が執行された実在の人物、トム・ホーンの晩年の数年間を、マックイーンが製作総指揮・主演で製作した作品。
撮影中に中皮腫を患っていることが判明したマックイーンの、トム・ホーンの厭世的な人生観に共感したのか、製作総指揮まで受け持ってまでの打ち込み方はなんとなくわかるのだが、やはり体の動きにキレがないため、いまいち魅力を感じられない。演出面でも女教師とのロマンスが妙なところで挿入されたりしてなんだがつながりが悪いし、最後で保安官たちがトムの執行の際に悲しんでいる場面が、その気持ちになるような描写がほとんどないので腑に落ちない。
38年前の鑑賞時は評価5をつけたのだが、監督は本作以外の作品はないようだし、製作者側の手腕が疑われるほど、映画としての出来ははっきり言ってかなり悪い。ワイオミングの美しい山並みと、時代に取り残されたガンマンの寂しさと映画界で生き抜きながら最後は癌でなくなったマックイーンの生きざまがシンクロして感じられることで退屈ということはないのだが、昔はいたくマックイーン・ファンだったこともあって高評価だったのだろうと思う。