「ショコラ」 2000年米・英 評価4.1


監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ジュリエット・ビノシュ、レナ・オリン、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップ他

2022年8月観賞

 1959年のフランスのとある田舎の村に魅力的な中年女性とその小学生の娘が引っ越してくる。彼らはその村でチョコレート店を開店するのだが、昔気質のお堅い多くの住民は、断食期に開店したその親子に嫌悪感を持つ。しかしその魅力的なチョコレートの味はやがて村民たちを魅了するようになる。

 ストーリーは少々都合の良い展開が目に付くのだが、そもそも御伽噺的な内容であるためあまり目くじらを立てる必要はないし、そのような映画はお手の物であるハルストレム監督の起用が間違いなく成功している。何より、配役が素晴らしい。仏のビノシュと娘役の子、米のデップとモス、英のデンチに村長役の男優、スウェーデンのオリンと、多国籍の芸達者を用意。かっこよすぎるデップはちょっと浮いているが、出番が限られているのでそう違和感はなく、そのアンサンブルが異国的な雰囲気をちょうどよく醸し出している。特に、ビノシュを主役に抜擢したのが大きいと思う。派手すぎない顔立ちとミステリアスな面を内包した演技が御伽噺チックな本作にぴったり合っている。

 今流行の多様性を受け入れるという内容が主軸で時代を先取りしている感があるし、ラストの神父の言葉「人の価値は何を禁じるかではなく、何を受け入れるかで決まる」という言葉がなかなか含蓄深く、表面的な御伽噺で終わってないのも良い。

 とにかく、重要なアイテムである数々のショコラがとってもおいしそうで、高級チョコレートやホット・チョコレートを食べたくなること請け合いの映画。

 つい先日「マトリックス」を観て、どうしてもトリニティのイメージが強いキャリー=アン・モスが堅物だが美しい未亡人を演じていて、新味。また、重要な役柄を務めるレナ・オリン。何かで観たことあるなと思っていたら「蜘蛛女」の主役だね!ハルストレム監督の奥さんだとは知らなかった。