「フレンチ・コネクションⅡ」 1975年米 評価3.2


監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:ジーン・ハックマン、フェルナンド・レイ、ベルナール・フレッソン他

1986年、2022年7月観賞

 結果としてニューヨークで逃した、フランスの麻薬密売の大物シャルニエを捉えるため、「ポパイ」ことドイルがフランスに送り込まれる。言葉の通じない異国で、満足にフランス当局の協力を得られずにうろつくドイルを街で見かけたシャルニエは、ドイルを拉致し、フランス入りの目的を聞き出すため、ドイルを麻薬中毒に貶める。

 大ヒットし、賞レースでも勝利を収めた1作目から4年の歳月をおいて製作された続編。主演のジーン・ハックマンはそのむさくるしい外見に関わらず、その間に性格俳優として押しも押されぬスターに成長。そのためか、全体の2/3はジーン・ハックマンの演技力を堪能するという展開になっており、その間、ストーリーに大きな進展はないため、今一つ映画の世界に乗り切れないというのが正直なところ。

 また、前作を踏襲しているのは、街中での突撃ロケっぽい撮影と身を張った追跡捜査なのだが、1作目の二番煎じの感はぬぐえない。

 ドイルがフランスに呼ばれたのは、前作で取り逃がしたフランスの大物麻薬密売人をおびき寄せる囮という設定なのだが、その割にはドイルを全く有効活用していないし、フランスの警察が何をやっているのか映像からは全く分からない。また、ドイルを麻薬中毒にしたまま生かしておくという展開自体も、知的で冷静なボスの行動原理からはそもそも説得性がない。

 反目していながらも最後はドイルと協力するフランスの警部の心境の移り変わりもいまいち上手く演出されていないし、バディとしては前作のロイ・シャイダーが演じたルソーのような魅力を感じられない。ジーン・ハックマン自体に役者としての魅力は感じるものの、それだけでは魅力的な映画にはならないという典型的な作品。最後の突然終わるシーンだけが良い。