「HANA-BI」 1997年日 評価3.9
監督:北野武
出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進他
2022年6月観賞
過去の事件で仲の良い同僚と部下が重症、一人殉職という事件を経験した、中年の西刑事は、刑事を辞職し、重い病で余命いくばくもない妻を連れて旅に出る。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
キタノブルーと言われる映像の色調、全般的なセリフの少なさといった北野映画の特徴が良く感じられる作品。また、久石譲の音楽も非常に美しく、印象に残る。
その中で、一つの事件に翻弄される元刑事とその家族の悲しい人生の変遷をじっくり見せられる。主なストーリーである、ビートたけしと大杉連が演じる中年の元刑事の生活と将来には奥深い闇しか存在しないのだが、そこにわずかな幸せの瞬間を差し込むことで、さらに物哀しさを感じさせる手腕はなかなか唸らせるのだが、あまり触れたことのない世界をベースに、ストーリーもちょっと現実離れしているところがあるので、あまり映画の中に入りこめなかった。
また、妻を演じる岸本佳代子が難病を患っているようには見えないのと、最後の少女(当時15歳のたけしの実娘)の凧揚げの場面に違和感を感じてしまう。