「マグノリア」 99年米 評価3.5(5点満点) メジャー度4
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ジュリアン・ムーア、ジェイソン・ロバーズ、トム・クルーズ他
人気TVクイズ番組「チビッコと勝負」のプロデューサーである瀕死の老人とその若き妻,看護人。老人が以前に妻と共に捨て,今は本やビデオでSEXの教祖として支持を集めている息子。そのクイズ番組の30年にわたる司会者と彼からの性的虐待により麻薬中毒の娘,彼女に恋するまじめな警官。クイズ番組の天才少年と彼の父親。かつて天才少年と呼ばれた中年という多彩な登場人物による複数の話が同時進行する。
最後に1つにまとまるかという(「ザ・プレイヤー」や「パルプ・フィクション」のように)と,予想外に不完全な複数の結末へと導かれる。また,劇中登場人物が1つの歌を歌いまわしていくシーンや,突然降り注ぐカエルの大雨など、予想外の展開,映画的な遊びが楽しい。まぁ,これは見る人によっては楽しくも何ともないだろうが。
病的な,汚い映画である。しかし,現代が病的であるのもこれまた事実で,そのような時代の中でさえ人間は小さな幸せに向かって生きているのだというささやかな感動を感じた。また,何度もセリフとして出てくる「過去は必ず追っかけてくる」から後悔しないように生きるべきだという主張も,かえって現代そのままの時代背景をもとに描いているので説得性がある。
見る人間によって,かなり評価が分かれる作品である。役者は皆達者だが,ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞をもらったトム・クルーズのSEXの教祖という役どころがいまいち説得力にかける。言っている事なんか特にカリスマを感じさせないし。