「シンデレラマン」 2005年米 評価4.0


監督:ロン・ハワード
出演:ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー、ポール・ジアマッティ他

2022年3月観賞

 1929年に有望若手ボクサーとして世界ライト・ヘビー級王座挑戦するも判定負け。以降は怪我などもあって表舞台から遠ざかっていた、実在のボクサー、ジェームス・J・ブラドック。一時はライセンスをはく奪されて引退、港湾労働者として日銭で何とか生きているような状態だったが、急遽相手にキャンセルが出たヘビー級の有望株との対戦が決まり、下馬評を覆して勝利。再度王座をとるためにボクシングに打ち込む。

 かなり波乱万丈のボクシング人生が描かれているが、実在したボクサーをモデルにしており、ほぼ史実に忠実な内容。1930年代前後のボクシングなので、近代ボクシングと比較するとフットワークやスピード感などは雲泥の差で、ブラドックの技術的考察をする必要はないのだが、ボクシングシーン自体は並みいるボクシング映画の中でかなり上質で違和感はない。

 ラッセル・クロウはしっかり体を作り、まだ顔自体も細面で、人、夫、親として優しさをもにじみ出していてカッコいい。レネー・ゼルウィガーの外見は私の好みの範疇に全く入ってこないのでその点での加点はないものの、やはり演技は達者で薄幸の(といって貧困の生活の中で服装がおしゃれすぎの感はあり)妻役を好演。その他の主要登場人物はマネージャー兼トレーナーのジョーのみ(この人物も好感をもって観られる)とした結果、主人公夫婦と家族に焦点がしっかり当たり、ボクシング&ドラマ映画として観応え十分で、さすが、程よいエンタテイメント映画を作ると一流のロン・ハワードの職人芸が生んだ良作。