「ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版」 1989年伊・仏 評価4.7
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、、サルバトーレ・カシオ他
2022年1月観賞
本来、監督のトルナトーレはこちら側の版で公開をしたかったようで、「劇場公開版」と比較し、トトの壮年期のエピソードを中心に約50分間のシーンが追加され、「劇場公開版」の大ヒットのおかげで、当該バージョンの公開に結びついたと考えられる。
青年期のトトが恋人だったエレナと破局した裏に、アルフレードのトトの将来を考えたつらい選択と、トト自身の行動があった。それを知った著名な映画監督となったトトのアルフレードへの複雑な思い、もう変えることのできない過去のロマンスへの思慕の念が、最後のキスシーンの上映に反映されるところが「劇場公開版」と異なるところ。
劇場公開時に観た際は「劇場公開版」と甲乙つけがたいと評価したが、去年、今年に両バージョンを5か月のインターバルで連続して再鑑賞してみると、現在のトトとエレナの出会い後の双方の心情がラストのシーンまでにどう整理されるのかの掘り下げがいまいち甘い。また、確かに追加されたシーンはテンポが悪く冗長な感じも受けてしまう。一方で、そのような演出面を除けば、最後のシーンに込められた、トトの色々な感情の葛藤は好き嫌いはあれ、より複雑で深いとも言え、内容的には同等と評価はできる。短い間隔での鑑賞ではさすがに各シーンの感動レベルは下がってしまうので、今の感覚だと4.3程度かなという評価はさすがに正確ではないと思う。「劇場公開版」から、上述のマイナスポイントのみを減点した評価としたい。