「バック・トゥ・ザ・フューチャー・パートⅢ」 1990年米 評価4.1


監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、メアリー・スティーンバージェン他

1990年2回、2021年11月観賞

 前作のラストで落雷にうたれ消えてしまったデロリアンに乗っていたドクから、1955年のマーティは手紙を受け取る。1885年に飛ばされていたドクからの手紙には、デロリアンは故障してしまったが西部開拓時代で元気で暮らしていること、故障したデロリアンの隠し場所とそれを直して1985年に戻ったらデロリアンを破壊することが書かれてあった。しかしマーティはデロリアンを見つけた場所の墓石から、1885年のドクが手紙を出した6日後に殺されたことを知ってしまう。

 タイムトラベルは1885年に行って帰ってくるだけなので、パートⅡのようなタイプトリップ特有の楽しさはないし、舞台が西部開拓時代なので1955年を舞台としたパートⅠのようななんとなく懐かしさを感じるような生活環境ではないという前2作と比較してのマイナス要因はあるものの、その分、マーティとドクの友情が厚く描かれているとともに過去の映画パロディは楽しいし、お約束のセリフとお決まりの展開もやはり本シリーズ全体としての楽しみを助長するので、エンタメ作品として高品質であるのは間違いない。

 一方で、クララは本来、渓谷に落ちて死んでしまったはず(だからこそクレイトン渓谷という名前になったはず)なので、彼女を助けた1885年のドクと恋におちているわけがないのに墓石にクララの名前が掘ってあるという矛盾に気づいてしまうし、例え故障中のデロリアンが1885年に1台残っているとしてもそれをもってその時代に蒸気機関車タイプのタイムマシンを作ってしまうというのは無理筋なので、ラストは若干違和感を禁じ得ない。

 また、ラストはドクは科学者らしく、将来をいじるなという教訓を守り通してほしかった。個人的には、マーティが1800年代を幸せに生き抜いたドクとの時代を隔てても変わらぬ友情を何かの小道具などでかみしめるというようなラストのほうがずっと余韻が美しかったとは思う。しかし、この人気シリーズをパートⅢで打ち切ったのは大正解だと思う。