「続男はつらいよ」 1969年日 評価4.3


監督:山田洋次
出演:渥美清、佐藤オリエ、山﨑努、東野英治郎、ミヤコ蝶々、倍賞千恵子、前田吟他

2021年11月観賞

 久しぶりに柴又に戻った寅次郎は、子供の頃に通った私塾・坪内塾の先生と意気投合し、先生の娘で幼馴染でもある夏子に一目ぼれしてしまう。しかし急性胃痙攣をおこして入院したり、無銭飲食で警察の厄介になったりとトラブル続きの寅次郎はまた旅立つ。

 本作製作時点ではまだシリーズ化が決定しておらず、本作で終わりとの設定で作られているので、寅次郎の母親を巡る話などのサイドストーリーが充実していてパターンにハマらない中での展開が興味深い。子供の頃に通った私塾の先生(東野英治郎)の娘で幼馴染の夏子(佐藤オリエ。美人過ぎないのがいい塩梅)との微笑ましいやり取りの数々はさることながら、先生との友情から死別といった寅次郎の人生に影響を与えた出来事もしっかり描かれ、また京都の連れ込み旅館の女将となっている母親(ミヤコ蝶々)との確執(関西弁vs東京弁のやり取りや連れ込み旅館という風俗も見どころの一つ)からのエンディングという流れも一つのストーリーのまとまりとして非常によくできている。一方、このあとの作品と比較すると柴又のおいちゃんの家でのシーンが少ないし印象も薄い。

 「母親」関連言語の禁止の名場面や、おいちゃんとの掛け合い(やっぱり森川信のおいちゃんが一番好きだなぁ)などのユーモラスなシーンは大いに笑えるし、要所要所に名優を配していることもあり、シリーズものではなく1本の映画としてとても完成度が高いと思う。

 驚いたのが、とにかく山崎努が若い!また、源吉(佐藤蛾次郎)が結構セリフをしゃべること。結構いい味を出しており、なぜ回を重ねるごとにほとんど喋らなくなったのか。もったいない。