「駅馬車」 1939年米 評価3.8


監督:ジョン・フォード
出演:クレア・トレヴァー、ジョン・ウェイン、アンディ・デヴァイン他

1985年、2021年9月観賞

 アリゾナ州トントからニューメキシコ州ローズバーグに向かう駅馬車には、トントを追われた娼婦ダラス、脱獄囚のリンゴ、飲んだくれの医師ブーンなどの他、御者やダラスを見張る保安官など計9名が乗車していた。一方、ジェロニモがアパッチ族を連れて駅馬車襲撃の警報も出ていた。果たして駅馬車は無事ローズバーグに到着できるのか。それぞれの乗客の運命は。

 なぜ脱獄犯のリンゴは保安官にも騎兵隊にも平然と見逃されているのか。臨月の女性をがたがた揺れる駅馬車に乗せるか?しかも子供が生まれたその日のうちに再度乗車。リンゴのダラスへの求婚の過程が急すぎる。など、雑なところはあるのだが、主な登場人物9人の性格分けがはっきりとなされていて、スピード感もあり、ありふれたストーリーではある(これはこの後の映画が本作を模倣した部分も多いのだろう)が、観応え十分の名作。

 特に、アパッチ騎馬族の駅馬車襲撃シーンと長身のジョン・ウェインのカッコよさは特筆もので、今の時代にも通用するほど。どうしても製作から80年が経過した今ではこの程度の評点にはなってしまうが、名作であることは全く否定しない。

 本作が撮影されたモニュメントバレーには大学時代にレンタカーで行ったことがある。撮影隊が陣取った場所には「John Ford’s Point」という立札が立っていた。夜中にこの地に踏み入れた時の岩山の不気味さは忘れられないし、早朝、ゲートを突破して観光名所に向かったときに管理人から追いかけられたのも今となっては懐かしき良い思い出。