「ドラゴンへの道」 1972年香港 評価4.4
監督:ブルース・リー
出演:ブルース・リー、ノラ・ミャオ、チャック・ノリス、ボブ・ウォール他
1984年、1985年、2021年8月観賞
イタリア・ローマの中華レストラン「上海」は、その土地を狙う地元のギャングに執拗な嫌がらせを受け、客も恐がって殆ど来なくなり閑古鳥の鳴く状態が続いていた。亡き父の後を継いだ女店主のチェンは、叔父である故郷・香港の弁護士に相談したが、病気の弁護士の代わりに来たのは英語もしゃべれない田舎風情の従兄タン・ロンだった。
前作「ドラゴン怒りの鉄拳」と比較するとあらゆる面で映画としてレベルアップ。香港映画初のローマロケも、特にコロッセオのシーで有効に使われているし、「香港カラー映画の父」と言われる西本正氏を撮影に迎え、これまでにない印象的なカットや構図も多い(しかし冒頭の空港シーンのピントのずれ具合は見苦しい。西本氏ではないのではないか?)。強敵として終盤に登場する3人、黄仁植(「お前はタンロンか?」の人)は韓国合気道の師範、チャック・ノリスは世界ミドル級空手選手権の6年間無敗のチャンピオン、ボブ・ウォールはノリスの弟子という本格的な武道家であるため、各人の技の切れも確かで、そのためにリーの技の凄さも際立つ。ストーリーのテンポも良いし、ノラ・ミャオも前作よりとってもフェミニンでスタイルの良さもあって魅力大。前半のコミカルな展開は賛否両論があるが、リンダ夫人が「もっとも普段のリーに近い」という、リーのチャーミングな笑顔やコミカルな動きが、リーのファンとしては何とも魅力的で、映画の評価というところを離れて、観ているだけで楽しい。
と、映画の基礎的な部分に問題はないから、あとはブルース・リーを存分に楽しめばいいという映画。肉体的にも絶頂だったと思われ、素晴らしい広背筋と異様な肩甲骨の柔軟性という超人的な肉体を堪能できるし、ダブル・ヌンチャクもいいねぇ~。大変仲の良い友人だったチャック・ノリスと二人で作り上げたラストの格闘シーンはやはり素晴らしい。足技による細かい防御にフェイントの多用といった、リーが実践向きに開発した截拳道の真髄も垣間見ることができ、截拳道を観るのなら本作は「燃えよドラゴン」を凌いでいる。
ブルース・リーにまつわる想い出話【その2】
少年/青年時代のブルース・リーファンは購入を逡巡したであろう、リー関連商品の数々。私も結構小遣いをつぎ込んだ口で、ポスターや映画チラシは当たり前。各主演映画のサントラ盤はもちろんのこと(私がすべてのジャンルを通じて最初に所蔵したLPレコードは「燃えよドラゴン」の完全版サウンドトラック。しかしこれ、映画の音声を丸ごとレコードにしただけの代物で、とても聴いてて楽しいものではない。数回しか聴かなかったなぁ)、芳賀書店の写真集(編集:日野康一「闘魂ブルース・リー」)や死後10年以上経過しているのに毎年発刊されていた空手道別冊「甦れ!ブルース・リー」は当然購入。これらに合わせ、「魂の武器/ブルース・リー」「ブルース・リーのすべて/日野康一」といった書籍は今でも自室の本棚に鎮座しています。
さらには海外発刊のポスター雑誌(裏面がA1サイズのポスターになっている)、ステッカーやラミネートカード(今、こんなものあるのだろうか??)、缶ペンケース、パラパラ写真動画などにまで手を出してました。
そしてカンフーズボン&シューズ。まさにリーが映画で着ていたもののまがい物。それを大学時代に、都内のキャンパスまで着ていったこともあった。。。今思うと、なんて恥ずかしいことしてたんだ!!変態か!?