「アイガー・サンクション」 75年米  評価4(5点満点) メジャー度2

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ジョージ・ケネディ他

 もと敏腕諜報員で、現在は引退し、大学の美術講師をしているジョナサンに制裁の仕事が持ち込まれる。元相棒で親友の男が何物かに殺されたというのだ。その標的は,アルプスのアイガー北壁に登るという情報が入り,もともと登山家でもあったジョナサンはそのパーティに入り,犯人を探しながら抹殺しようとする。

 高校1年の時に見て,ラストのどんでん返しが結構面白かったという記憶があり,もう一度見てみた。しかし今回は結果がわかっているため,それまでの話の導き方に面白みや正確性があるかということを重点的に見たような気がする。

 結果,かなりおかしな感じがする。だいたい,登山パーティ(4人)の中に犯人がいるというところまで早々とわかっていながら,なぜ,最後まで名前がわからなかったのか,実際の犯人はジョナサンと出会ってすぐ,相手が自分を狙っているとわかったはずなのに,アイガーに登ってもそれを打ち明けなかったのか?あまり,話の筋道としては説得性がない。

 とはいうものの、はじめて見る人にとってはイーストウッドがスタントなしで挑んだという,絶壁でのクライミングなどははらはらさせるし,犯人も最後までわからない。「ジャッカルの日」にも通じる硬質なヨーロッパ風の雰囲気をうまく出しており、イーストウッドの監督としての非凡さも垣間見ることができる。