「ドラゴン怒りの鉄拳」 1972年香港 評価2.8
監督:ロー・ウェイ
出演:ブルース・リー、ノラ・ミャオ、ティエン・ファン、ジェームズ・ティエン他
1983年(映画館)、1985年、2021年8月観賞
20世紀初頭の上海。精武館の創始者で中国武術の大家・霍元甲が謎の死を遂げた。愛弟子のチェンは霍の娘と結婚するために上海に戻るが、師の突然の死報に泣き崩れる。ある夜、チェンは精武館の台所にいた二人の密談を耳にし、師が日本人の陰謀により毒殺された真相を知る。
中学生の時、映画館で鑑賞(「ドラゴン危機一髪」と「アメリカン・ブルーパーズ」(まったく記憶に残ってないが、アメリカの珍プレー集だったみたい)との3本立て!よくまぁ5時間も観続けたもんだ)した時の評価は5。しかし。。。う~ん、う~ん。人生にどれほどの影響を与えたかという尺度では確かに評価5なのだが、映画としてはとても今の人にお勧めはできないと思ってしまう。
ストーリーがべたなのはまぁ許せるとして、ブルース・リー作品おなじみの役者が少なくとも10人以上認識できて、いつも同じような役柄を演じているものだから、登場しただけでこの作品での役回りもすぐわかってしまう。そしてリーの過剰な顔芸がいちいち不自然。大勢でのアクションシーンもリー以外は弛緩した動きで緊迫感がない。ほとんどがセットで撮影されており、極めて狭い範囲でのもめ事という印象。ステレオタイプの日本人像(裸踊り、あれはひどい。。。)などなど、学芸会レベルの内容。
そんな中、何とか観れるのはやはりリーのアクションがあるから。今回再認識したのは、この後の2作品の土台がきちんと本作の中に息づいていること。本作で初めて披露された怪鳥音とヌンチャク、踏みつけ時の顔の表情(=燃えよドラゴン)、ロシア人との戦いでは結構本格的な武道を見せる(=ドラゴンへの道)。無駄のない武道家としての美しい体と凄まじいスピードの動きは、そりゃ中学生の時に観れば憧れるよなぁというのは否定しようがない。
以下、ブルース・リーにまつわる想い出話を。
ヌンチャクを激しく所望した中学生の私は、普通に武具取扱店で買おうとすると4,5千円以上という高値と、リーの映画で使用されているのとは違う外観(木材むきだし、紐で繋がれている)に納得できず、まず新聞紙を丸めて紐でつなげ、黒のビニールテープを巻き付けた作品が第1号。しかしそれは柄の部分がやはり弱いので、行きついたのが擂粉木を鎖とねじでつなげ、ビニールテープで仕上げた作品。総額400円程度。時々ねじが緩んではずれ、数10メートル飛んで行ってしまうのはご愛敬。リー好きの友だちと作って、公園でよく練習したし、それで爪が割れることもあったけどその後も4,5年は練習し続けていた。今は息子に7,8年前位に買ってあげた緩衝材がついた安全仕様のヌンチャクがどこかの部屋の片隅にあるはずだが、多分今でも隠し芸で披露できるほどのスピードと精度で回せるはずだ!と信じたい。