「告白」 2010年日 評価4.2
監督:中島哲也
出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、藤原薫、橋本愛他
2021年6月観賞
荒れている中学校1年B組の最終日、担任の森口は、先日学校のプールで事故死した自分の娘が実はこのクラスの二人の男子生徒により殺されたと告白を始める。湊かなえ原作の映画化。
私は衝撃的な内容だった原作に対し評点5(最高点)をつけている。湊かなえの小説は映画でいうと、人間のどうしようもない性や愚かさを抉ってくるという点で西川美和作品と良く似ていると思っており、爽快さや感動というものとは縁遠くてもとても惹き込まれる魅力を感じる。
そんな原作を「下妻物語」「嫌われ松子の一生」を手掛けた中島哲也が監督。彼の映像と音響のセンスは特に前半の告白の部分でとてもマッチしており、食いつくように見入った。一方で、後半の展開は小説ならその奇抜さは和らぐが、映像化してしまうとちょっと常軌を逸しすぎという印象で、ちょっとやりすぎかなという感じ。
私には子供がいるし、中高時代の学校は本作で描かれれているような荒れ方は全くしていなかったので、どうしても森口先生寄りの考え方になってしまう。少年であれば殺人を犯しても罪に問われないというのは何とも理不尽にしか思えないので、その点を問題提起していると思いたくもなる。
一方で、日本人の特性である、個人では何もできずに集団になると自分よりより弱いものを蔑むことで、自分が優位な立場にいると思いたがる集団心理が良く描かれている。しかしそれだけではなく、本作では親から本当の愛情を受けなかった子供たちの心情も丁寧に描いており、映像、音響センスとも相成り、後半のやりすぎ部分は少々あるが原作の良さを損なわない出来となっている。とにかく冒頭から胸糞だけど緊迫感がすごい。