「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 2007年米 評価2.9
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー他
2021年6月観賞
20世紀初頭のアメリカ西部で単なる山師だった男が油田採掘で一山あて、大金持ちになったが最後は孤独に死んでいくという一生を描いた、実在の石油王エドワード・ドヘニーをモデルにした作品。
一言でいうと、俳優ダニエル・デイ=ルイスを鑑賞するための映画。主人公のダニエルの周囲には、孤児となりダニエルに息子として育てられたH・W、いかがわしい宗教の宣教師、弟に成りすました男などの登場人物がいるのだが、彼らの存在がダニエルの生き方は変えるということは微塵もない。なので、単純に油田採掘に一生を捧げ、性格的にも段々とより偏屈になっていく、残念ながら魅力を感じない男の人生を傍観するという感じの内容。しかも160分弱という長尺でそれを丁寧に描くものだから、冗長に感じざるを得ない。
とはいえ、本作でアカデミー主演賞を獲得したダニエル・デイ=ルイスの演技は素晴らしい。歳をとると共に古傷の左足の痛みが増し、歩きがぎごちなくなる様や、偏屈になっていく内面に伴って外見もより頑なになっていく様などの表現がやはりすごい。それだけでも見応えがあるといえばあるのだが、それ以外にはちょっと魅力は感じない。