「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」 2002年米 評価3.5


監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、クリストファー・ウォーケン他

2021年6月観賞

 1960年代に十代のころから若くして、パイロットや医師、弁護士に偽装し、世界各地で小切手偽造事件を起こした実在のフランク・W・アバグネイル・Jrを、彼自身の自伝小説をベースに描いた作品。

 主役であるフランクに対し、彼の父親以外の登場人物はあまり明確な人物像をもって絡んでは来ない。その結果、主人公を中心としたスピーディでスマートな展開となり、140分超という長さを感じさせない演出はさすがはスピルバーグというべきもの。

 一方で、この一世を風靡した詐欺師があまりに軽く描かれているとみるべきか。実際に刑期半ばで釈放され詐欺被害の銀行コンサルタントや連邦捜査局の協力をしてきたという実力者なのだが、詐欺を成功させる段階の調査や鍛錬といった苦労と執念がほとんど描かれないため、なんだか易々と詐欺を重ねていたようにしか見えないことから、物語に深みを感じない。まぁ、そういう映画と割り切ればそれはそれでいいのだろうが、どちらかというとストーリーに深みを求めがちな私からするとある一定レベル以上の評価はできない。