「救命艇」 1944年米 評価3.5
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:タルーラ・バンクヘッド、ヒューム・クローニン、ヘザー・エンジェル他
1990年、2021年5月観賞
第二次世界大戦下、アメリカからイギリスに向かう客船がドイツ軍のUボートの攻撃を受け大西洋で沈没。辛くも船から逃れた8名の男女は1隻の救命艇に乗り合わせたが、連合国軍の攻撃で撃沈されたUボートからドイツ兵の乗組員1名が新たに救命艇に乗り込む。
1944年の作品だけあって先日観たヒッチコック作品「逃走迷路」と同様に、戦時中のプロパガンダ映画の趣が強い。戦局が見えてきていた大戦終盤の製作であるためか、本作ではドイツ兵を直接的に悪者として扱っているところは興味深い。
一つの救命艇に8名の大人が乗り込み、カメラはそこから動かないので完全な密室劇。色々な人間模様も織り交ぜ、一番頭脳明晰で体力も十分というただ一人乗り込むドイツ兵がいいアクセントになってサスペンス的要素もあり、100分弱という時間を飽きさせないのはさすがはヒッチコックというべき内容だが、小さな船の中という移動範囲ではさすがに動きがほとんどないので、サスペンス的内容などの振れ幅は限られてしまう。